馬野周二氏のアメリカ素描(8)歴史の論理は、米ソ中を否定する

馬野周二氏の文明論は本当に素晴らしい。今まで何人も考え付かなかったこの文明論は将来、日本はおろか世界に影響を与え、世界史をも書き換えるほどの威力を秘めていると思います。これを用いれば巨視的な現代世界構造が把握でき、さらに、その将来予測さえも可能になる。



同氏文明論(衰亡の法則 : 馬野周二著、1983年を参照)の概要


①日本はヨーロッパ文明と同時同種の第Ⅲ文明の国である。第Ⅲ文明とは先進の第Ⅱ文明(日本は中国文明、ヨーロッパはギリシャ・ローマ文明)の辺境で興った文明である。


②第Ⅰ文明のエジプト、メソポタミア、インダス文明、および、第Ⅱ文明の中国、ギリシャ・ローマ、インド文明、は両者とも死滅した。


③現在活動中の文明は第Ⅲ文明の日本およびヨーロッパ文明、そして、第Ⅳ文明のアメリカおよびソ連文明のみである。なお、第Ⅳ文明のアメリカおよびソ連文明は高度に発達した18~19世紀のヨーロッパ文明を広大な未開地(アメリカ平原、中央ユーラシア大陸)に移植促成培養した文明であり寿命は著しく短く、20世紀末には滅亡する(ソ連は1991年に滅亡、アメリカの滅亡も近い)。


④各文明の寿命は2300~2600年である(第Ⅳ文明は除く)。




今日はアメリカ素描から少し離れた文明論で、大国である米ソ中の興亡についてです。同氏はアメリカ、ソ連、中国は近代社会とはなりえないと切り捨てています(もっともソ連は既に滅亡)。


同氏著「大日本技術帝国」(1982年)から序章「帝国の興亡を予言する」の一節「歴史の論理は、米ソ中を否定する」を下記に示します。



歴史の論理は、米ソ中を否定する


十九世紀、二十世紀は工業の世紀である。歴史を動かしてきたのは工業生産力であり、世界は大工業国、西欧、アメリカ、日本の角遂の舞台となった。これらの国は、政治家、軍人、産業家や民衆によって動かされているようにみえはするが、その根底を探れば、実は科学と技術という目に見えない糸によって、操られているのだ。


本書はこの二つの、一見関係のないアプローチ、すなわちアメリカ眼鏡から脱却した歴史の見方と、われわれがその中で生きている工業世界の駆動力の科学論理を組み合わせて、世界と日本の将来を透視しようとするものである。


世界を論じる場合に、近代工業世界だけを切り離すわけにはいかない。現実世界には、中国やインドのような工業化していない古い国もあり、また、植民地から独立したばかりの新しい国もあって、これらの歴史過程の分析には空間と時間の相関を探る手法が必要となる。それは、文明の歴史、つまりその時間的進行のほかに、地理的拡散を考える方式である。


すなわち、最初の大文明はナイルからインダスにわたる地域に、第2の大文明は地中海、インド、中国に、同時的に出現し、第3の大文明は西欧と日本に出現した。これらはユーラシア大陸を同心円状に拡散した。


これらの大文明は、存在の時間は重なってはいるが、すべて寿命をもち、2300~2600年で衰亡する。中国やインドは現在も一見大国風に存在してはいるけれども、実はすでにその生産的な文明の歴史を終えているのだ。したがって、本格的に工業化する可能性はなく、世界に現実の影響を与える強国となることもありえない。


この論理を進めると、アメリカも、この文明進歩の道筋からのはずれっ子であって、そえゆえに本格的な安定した近代社会をつくる条件を欠いている。


もとよりソ連もアメリカも大工業国であり、先端的な技術を用いた大軍備を誇っている。しかし、その実体を詳しくみると、正統の近代社会をもっているとはいえない。


つまり、アメリカもソ連も、一見すれば超強国ではあるが、これらは歴史の積み重ねという基盤のない、砂上の楼閣であって、世界が第二次産業革命の社会に入っていくにともない、自爆というかたちで自らを清算するだろう。歴史の論理はまことに冷厳なものだ。これが、本書の分析法を通してみた世界の姿であろう。


「歴史の論理は、米ソ中を否定する」は以上です。

☆☆☆



馬野周二氏が活躍した1980年代と大きく異なるのは中国とインドの経済が高度成長したことであり、特に中国は今や世界第二位の経済大国でもある。これを同氏文明論ではどう捕えるのか、同氏が現役であれば是非解答を伺いたいところだが、いたしかたなく、私の独断と偏見で思考するよりほかはない。


本ブログの過去記事「馬野周二氏のアメリカ素描(5)日本とアメリカの国民性の違い」において同氏は次のように述べている。


「歴史学者にして行政家であるアメリカ人、ヘンリー・キッシンジャーは、「・・・・・逆説的なことは、日本人が外国人を利用し、外国の方法と技術を手に入れれば入れるほど、日本独特の活力と独自性を、いっそうよく維持できたことである」と述べています。

日本のこの特性は、日本民族の社会が歴史的に「活きて」いるからでしょう。社会の歴史的堆積物が多くもなく、少なくもなく、ちょうど頃合いであるために、外来の刺激を吸収消化し栄養化することが可能となります。中国やインド、中近東、地中海世界は、かって社会が物質中心に進みきり、古くなり、歴史の自重が大きく、日本のような芸当は、本質的に不可能となっています。」


これを踏まえると中国、インドが高度成長しても古い文明に属するので現代文明を担えるような創造的活動はできないと言えるのではないかと考える。


最近、某経済評論家で大学教授氏が21世紀は中国の時代であると述べているが、はたして本当だろうか。


私は馬野周二氏を信頼しており某氏の説は間違いであろうと考えている。


本日は以上です。

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Author:toroco
奴隷と戦争の野蛮で下らない西洋文明は終わりだ。新しい日本時代に向けて発言して行きたい。趣味は読書と盆踊り、愛知県在住、男性、Twitter(宙啐toroco)運営開始。