馬野周二氏のアメリカ素描(5)日本とアメリカの国民性の違い

今日は日米の国民性についてです。我々日本人は他民族も自分と同じ考え方をすると思っているが、実際は大きく異なる。このために数々の誤解やトラブルの原因になる。馬野周二氏は両国の国民性の違いについて鮮やかに解説しています。



馬野周二氏著「日本はどう進むべきか」(1988年、武井出版)から第一章「現在の日本が抱える諸問題」の一節「国民性の違い」を下記に示します。



国民性の違い



アメリカは、わずか200年前に植民地から独立して建国された非常に若い国です。しかも太平洋岸に到着してからは100年と少ししか経っていません。もとよりその社会はヨーロッパ文明を継承していますが、それは一部を切り取って北米大陸の中で培養したもので、文明社会としては、かたよった、狭いものです。



日本人はアメリカ人と付き合うときに思い違いをするのは、彼らもまた、われわれと同程度の文化の深さを持っていると無意識に思い込むことで、ここにしばしば行き違い、誤算が起きてきます。明治以来、とくに敗戦後、日本は多くのものをアメリカに負っています。このことがアメリカ文明の全面的評価という誤りを助長させているのですが、実際は日本がアメリカから採り入れたのは、われわれに当然欠けている近代社会運営のソフト、ハードのノウハウにすぎないのです。つまり社会表面の技術導入であって、現在では、多くの「技術導入」と同じく、さらに洗練されて、かえって逆輸出される段階に入りつつあることは、鉄鋼技術一つとっても明らかです。



歴史学者にして行政家であるアメリカ人、ヘンリー・キッシンジャーは、「・・・・・逆説的なことは、日本人が外国人を利用し、外国の方法と技術を手に入れれば入れるほど、日本独特の活力と独自性を、いっそうよく維持できたことである」と述べています。



日本のこの特性は、日本民族の社会が歴史的に「活きて」いるからでしょう。社会の歴史的堆積物が多くもなく、少なくもなく、ちょうど頃合いであるために、外来の刺激を吸収消化し栄養化することが可能となります。中国やインド、中近東、地中海世界は、かって社会が物質中心に進みきり、古くなり、歴史の自重が大きく、日本のような芸当は、本質的に不可能となっています。



アメリカは外見はともかく、実際は「歴史なき国」であって、社会があまりに軽く、慣性に乏しく一時の風潮に全面的におかされます。精神の伝統が国の背骨に通っておらず、物質、金銭、低い本能で国が動いていく。



現在のアメリカ社会には、詐編が太い底流として流れており、ビジネスにおいても、顧客を瞞着して利益を得ようとする性癖が濃く影を落としているようです。自動車など、毎年モデルチェンジし、外見だけはますます豪華になるが、中味はそのまま、あるいは、かえって粗雑といったまやかしが行われ、労働者も真面目に働かなくなっています。アメリカの自動車工業衰退の根本原因は、アメリカ社会の道義頽廃にあるのです。そうであれば、輸入制限しようとしまいと、そんなことには関係なく、自動車工業のみならず、アメリカ工業、アメリカ経済の衰退は急速に進んでいくことになるでしょう。社会の荒廃は、必ず経済の崩壊となって現れずにはいません。



かってアメリカ支配層は、急進する日本経済に怖れを抱き、その勢いを失速させようとして「石油危機」を演出して日本叩きに出ました。ところが、自ら設けた罠にはまって文字通り完敗を喫したわけです。石油危機をきっかけに日本は産業技術構造を急激に高度化させ、アメリカは多くの分野で引き離されました。思いもかけないこのありさまに一番とまどったのは当のアメリカでしょう。その後も新たな輸入規制やら、農産物の輸入自由化やら円高やらと、場当たり的に手を打ってきていますが、しょせん日本の技術的・経済的優越は、これから先、ますますアメリカを圧し続けるのみです。



そして、この背後には、日本の高い文化、古代から流れている精神的な伝統があることに気づかざるを得ないようになるでしょう。



「国民性の違い」は以上です。



本日は以上です。

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Author:toroco
奴隷と戦争の野蛮で下らない西洋文明は終わりだ。新しい日本時代に向けて発言して行きたい。趣味は読書と盆踊り、愛知県在住、男性、Twitter(宙啐toroco)運営開始。