馬野周二氏のアメリカ素描(2)アメリカ社会の衰退 2

馬野周二氏著「衰亡の法則」(1983年)から「アメリカ社会の衰退」の続きです。



アメリカの歴史は、このようにして、四百年の短い命なのであるが、ずっと長かったシナの歴史とともに、文明、社会、国家の興隆と衰退の、きわめて適切な研究対象と言えよう。なぜアメリカがかくも短命であるのか。


その原因は、アメリカが第Ⅲ文明(ヨーロッパ文明)の先端の一部を切り取って、大領域の平原で促成栽培したからである。つまり竹馬文明であるために深い根がない。過去百年の工業化によって体重が急増加したために細い竹は曲がってしまっている。今や折れる寸前と言ってよい。


シナの社会の歴史から、人の心が情緒性・現実性から論理性・合理性に向かうとともに、社会の劣化が増大した様子が窺えた。西洋近世が育てた合理性と科学・技術そして経済化を、超大規模で純粋培養したアメリカ社会は、より古い文明のブレーキが欠落しているために、最も速やかな、かつ深刻な腐敗に陥ることは当然である。シナもヨーロッパ、日本も、情緒性から合理性への移行は自然の経過であったから、その進行はゆるやかで、一方が徐々に減少し、他方が徐々に増加した。双方がお互いに牽制して、社会の変移が暴走することがない。ところが竹馬文明のアメリカにはブレーキが付いていないから、急坂を転がり落ちる状況になる。


アメリカ社会の特徴は、第一に論理化、宗教化が行き過ぎてしまったことである。つまり資本主義デモクラシーが唯一最高の教義であり、万人はこれに拝脆すべきと盲信し、それ以外のものは異端として審問し、暴力を振っても排除しようとする。第二には情緒性が欠落して合理性だけが強力であるために、社会のみならず個人、家庭が乾燥し、自己主張と闘争に明け暮れる。弁護士の数が人口当たり日本の十倍以上もおり、何でも法廷に持ち込むということになる。第三に社会の価値感が経済のみに集中するために、金儲けが個人と、そして国家の唯一の目的と化する。こうしてアメリカ社会には、安定の安全弁としての多様な価値観が育たない。


アメリカは僅か四百年で、シナ社会が三千年を要した変化を駆け抜けた暴走社会となった。この社会は、一旦破滅した後、長い時間をかけて再生する外はない。おそらくそれは、第Ⅳ文明にふさわしい、新しい文明を創り出していくことによってであろう。第Ⅲ文明の枠内に止まるかぎり、日本を越すことは不可能である。


「アメリカ社会の衰退」は以上です。


☆☆☆


先日、リチャード・コシズミ氏が新宿講演でアメリカは中国社会ととてもよく似ていると言っていましたが、最低の医療、大きい貧富の格差、OECD国中最低の平均寿命、犯罪率が異常に高い、等でもうアメリカは先進国とは呼べないと思います。


本日は以上です。

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Author:toroco
奴隷と戦争の野蛮で下らない西洋文明は終わりだ。新しい日本時代に向けて発言して行きたい。趣味は読書と盆踊り、愛知県在住、男性、Twitter(宙啐toroco)運営開始。